施設で出会った利用者さん達。

知的障害、自閉症、強度行動障害、水中毒、全盲——。言葉で聞くとどこか遠い話に感じるかもしれません。でも施設では、そういった特性を持つ方たちと毎日一緒に生活しています。この記事では、実際に出会った利用者さんを通じて、「特性」とは何か、その人らしさとどう向き合うかを伝えたいと思います。

施設の中を、もう少し覗いてみてほしい

福祉の仕事に興味がある方はもちろん、「家族が施設で働いているけどどんな人たちがいるの?」と気になっている方にも読んでほしい内容です。障害のある方たちの日常は、外からはなかなか想像しにくいもの。リアルな姿を知ることで、少し身近に感じてもらえたら嬉しいです。

「特性」を頭でわかっても、体がついていかない

施設で働き始めると、利用者さんの「特性」という言葉をよく耳にします。でも最初のうちは、「特性がある」と説明されても、実際に目の前で起きることへの対応がまったく追いつきませんでした。

「どう声をかけたらいいんだろう」「今どんな気持ちなんだろう」と考えながらも、気づけばその場の対応に精一杯。知識として知っていることと、実際に関わることの間には大きなギャップがありました。

出会った利用者さんたちとその特性

Aさん——自閉症・水中毒・強度行動障害

Aさんは穏やかな方で、普段は静かに過ごしていることが多いです。でも「水」に関してだけは、様子が一変します。

水中毒という特性があり、水を強迫的に求めてしまうのです。「水が飲みたい」と語気を荒げて訴えてくることもあれば、蛇口に向かって走り出したり、果てはトイレの水を飲もうとすることも。水の摂取量が増えすぎると体に深刻なダメージを与えるため、支援者が水分管理をしなければなりません。

💭 Aさんから教わったこと

「水を飲みたい」という気持ちはごく自然なものなのに、それが本人を傷つけてしまう可能性がある。この矛盾と向き合う支援の難しさを、Aさんから教わりました。

Bさん——知的障害・弱視(初めての担当利用者さん)

Bさんは自分にとって初めての担当利用者さんでした。弱視があるため、トイレや着替えのサポートが必要で、移動のときは手を引いてゆっくり歩きます。

おしゃべりが大好きで、隣に座っている人に話しかけたり、一緒に歌ったりする場面もありました。一方で、隣の人をちょっとつねって意地悪をするような一面もあって、最初は「なぜ?」と戸惑いました。でもそれも、Bさんなりのコミュニケーションの取り方なんだとだんだんわかってきました。

💭 Bさんから教わったこと

はじめて「担当」という形で一人の利用者さんと向き合った経験は、今でも自分の支援の原点になっています。

Cさん——全盲・知的障害

Cさんは全盲で、目が見えません。それでも、施設で長く生活してきたため、棟内の廊下・トイレ・部屋の位置をほぼ完璧に把握していて、まるで見えているかのようにスタスタと進んでいきます。慣れた環境の中での「感覚」の鋭さに、初めて見たとき驚きました。

一方で、感覚刺激を強く求める特性があり、便を頭に塗りつけてしまうことがありました。衝撃的な行動に見えますが、これも「刺激を得たい」という本人の感覚的なニーズから来るものです。その行動を「問題」として止めるだけでなく、なぜそうするのかを理解した上で別の形で刺激を提供していく——そういう視点が支援には必要だと教えてもらいました。

💭 Cさんから教わったこと

行動を「問題」として止めるだけでなく、なぜそうするのかを理解した上で別の形で刺激を提供していく——そういう視点が支援には必要だと教えてもらいました。

特性は「その人」を知るための入口

A・B・Cさんそれぞれに、全然違う特性と個性があります。同じ「知的障害」という言葉でくくられていても、その人がどんなことを求めているか、どんな場面で困るか、どんな関わりが心地よいかは全部違う。

特性を知ることは、その人を理解するための入口にすぎないと、この仕事を通じて感じるようになりました。

次回は、支援の中で起きた具体的なエピソードをお伝えしていきます。

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